診療について
腫瘍科
腫瘍でお困りの飼い主様、まずはご相談ください。
獣医師
西戸 達郎(にしど たつお)
日本獣医がん学会認定医Ⅱ種
北里大学卒業
麻布大学腫瘍科研修医2007-2009年
腫瘍科では飼い主様の要望に可能な限りお応えできる診療を目指しております。
動物は自分の要望を伝えることができませんので、それを代弁するのが飼い主様と考えているからです。獣医師-飼い主-動物という連携と親密な関係をつくることで腫瘍を治す、治せなくても腫瘍とうまく付き合っていくことが可能だと考えております。
腫瘍でお困りの飼い主様へは相談だけでもかまいませんので当院にお越しいただければと思います。
診察について
腫瘍科では完全予約制で診察を行っております。
診察を希望される飼い主様はあらかじめ電話にてご予約下さい。
予約が混雑していたり、飼い主様の希望の時間に診察できない場合もございますのであらかじめご了承ください。
セカンド・オピニオンや他院様からのご紹介の飼い主様は可能であれば、今までの検査結果や使用したお薬の内容がわかるよう情報をまとめておいていただければたすかります。
飼い主様だけでおこしいただく場合は話せる内容が限られますので、ワンちゃんやネコちゃんと一緒に来院して下さい。
がん検診について
近年、腫瘍の患者様が増加傾向にあります。動物はヒトと同じように腫瘍を早期発見早期治療することにより、治せる可能性を上昇させると考えております。
そのため、当院では飼い主様へがん検診を勧めております。
腫瘍の進行度を調べるために
腫瘍を治療する上で大切なのは良性悪性だけではなく、腫瘍の進行度も非常に大切です。
その進行度を調べるために、血液検査、レントゲン検査、超音波検査、状況によりCT検査、MRI検査(当院にはないため、他院を紹介させていただいております)が必要になります。
進行度により計画をたて、飼い主様とよく相談して治療方針を決定いたします。
しこりを鑑別するために
どんな場所に、しこり(腫瘤)ができても、それが「がんではないか?」と誰でも不安になるものです。
発生した場所にもよりますが、当院では腫瘤の細胞診を行うことで迅速に鑑別することが可能です。
細胞診とは腫瘤に針を刺して細胞を採取し、顕微鏡で診断する手法です。細い針ですので動物の痛みはほとんどなく、腫瘤を切除しなくともあらかじめ診断できることがあります。
ただし、腫瘤の一部の細胞しか採取することはできないので100%の確定診断ではありませんし、細胞が採取されなければ診断はできません。その場合は組織生検で診断いたします。
主な腫瘍疾患
各腫瘍における当院での主な治療方法です。同じ腫瘍や進行度でも飼い主様の要求や、動物の状態により治療方法を選択していきますので、詳しくは診察にてお話させていただきます。
※放射線治療は当院では行えませんので、紹介させていただきます。
乳腺腫瘍
犬では非常に多い腫瘍で約50%が悪性であり、猫では約80-90%が悪性であると報告されています。
治療の第一選択として外科手術を薦めております。
リンパ腫
近年、様々な分類法が確立されており、犬においても猫においてもその分類により治療が異なります。症状は発生した部位により異なるため、様々です。
基本的には抗がん剤で治療を行いますが、手術や放射線が適応になることもあります。
肥満細胞腫
皮膚にできたしこりで来院することが最も多く、犬においてグレードや臨床ステージで、猫では発生した場所により予後が異なります。 外科切除を第一と考えていますが、抗がん剤や放射線で治療することもあります。
組織球性肉腫
関節、肝臓、脾臓、肺、神経などあらゆる場所に発生し、発生した場所により臨床症状が異なります。
バーニーズ・マウンテンドッグ、フラット・コーテッドレトリーバー、ウエルシュ・コーギーなどの犬種に多く発生すると報告されています。
抗がん剤、外科切除で治療を行っております。
骨肉腫
骨から発生する悪性腫瘍で、犬では非常に転移性が高いことが知られています。 足の痛みがほとんどですが、腫瘍による骨折で来院することもしばしばあります。 猫では犬よりも転移性が低いと報告されています。 外科切除や抗がん剤で治療を行っております。
口腔腫瘍
口の中には様々な腫瘍が発生します。腫瘍により挙動や予後が異なるため、まずは診断が必要になります。
外科切除、抗がん剤、放射線治療など腫瘍の種類やその範囲によって治療法を選択しています。
鼻腔腫瘍
鼻の内部に腫瘍が発生します。診断にはCT検査や組織生検が必要になることが多く、治療には放射線が適応されることがほとんどです。
血管肉腫
犬では脾臓、肝臓、心臓などに発生が多く、非常に転移性が高い腫瘍です。外科切除、抗がん剤で治療を行っております。
軟部組織肉腫
体のあらゆる場所に発生するため、臨床症状は様々です。転移性は低いものから高いものまで存在し、外科手術、抗がん剤、放射線治療など状況により選択して治療します。
消化管腫瘍
嘔吐や下痢の症状がでることが多く、そのほとんどは腫瘤を形成するか消化管が肥厚する所見が認められます。
腫瘍の種類により予後が異なりますが、外科切除、抗がん剤が適応されることがほとんどです。
肝臓腫瘍
肝臓には肝細胞由来腫瘍、血管肉腫、転移性腫瘍など様々な腫瘍が発生します。
肝細胞由来の腫瘍は症状の発現が遅いため、偶発的に発見されるか進行した状態で来院するかのどちらかがほとんどです。
CT検査など画像で診断したうえで適応であれば外科手術により治療を行います。
膵臓腫瘍
なかなか治らない血尿や尿が排泄できないなどの症状で来院することが多く、転移性の高い腫瘍です。
治療は進行度だけでなく、尿の排泄障害の程度により外科手術、抗がん剤などで行います。
膀胱腫瘍
なかなか治らない血尿や尿が排泄できないなどの症状で来院することが多く、転移性の高い腫瘍です。
治療は進行度だけでなく、尿の排泄障害の程度により外科手術、抗がん剤などで行います。
腎臓腫瘍
お腹が張り、血尿、食欲不振など、症状は様々です。
片側の腎臓に腫瘍が発生していても、残っているもう一つの腎臓の機能があれば摘出しても生存は可能です。
腎臓の機能、転移の有無、大きな血管の巻き込みなどをCT検査など画像で診断した上で治療プランをたてます。
肺腫瘍
発生場所にもよりますが、臨床症状は進行しないとでない場合が多く、偶発的に発見される場合もあります。
は原発性肺腫瘍と転移性の腫瘍を鑑別する必要があります。
像診断を行ったうえで適応であれば外科手術にて治療を行います。
甲状腺腫瘍
首にできたしこりで来院することが多く、気道の圧迫などにより重篤になることもあります。
診断にて適応であれば、外科手術を行います。
肛門周囲腫瘍
未去勢の雄犬で多く発生し、精巣ホルモンが関与していると報告されています。
良性腫瘍ですが、潰瘍や出血による生活の質の悪化で来院することがほとんどです。
去勢を含めた外科手術で治療を行います。